現在のヘヴィメタルは、かつてメタルを愛聴していた人ですら理解できないほどにまで細分化されていますが、それら細分化された幾つものヘヴィメタルに共通したルーツとなっているものがあると感じます。ブラック・サバスやディープ・パープル、そしてニューウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル(NWOBHM)などがそれで、中でもNWOBHMが以降に及ぼした影響は絶大。
そんなNWOBHMの中から音楽的に優れたバンドを選ぶとしたら、私ならアイアン・メイデンとジューダス・プリースト。さらに、ジューダス・プリーストのアルバムからひとつだけ推薦盤を選べと言われたら、私ならこのレコードを選びます。
今回は、1982年発表、ブリティッシュ・ヘヴィメタルを代表する大名盤『Screaming for Vengeance』(邦題:復讐の叫び)を取り上げさせていただきます。
■ブリティッシュ・ヘヴィメタルのイデアが凝縮された決定作!
ハードロック・バンドであったジューダス・プリーストが、メタルと呼べる音楽を確立したのが80年発表のレコード『British Steel』だとしたら、その音楽が完成に至ったのが本作ではないでしょうか。
どちらもリードを務めうるタッピングを駆使したツイン・ギターの精度。ヘッドヴォイスを使いこなすハイトーン・ヴォーカル。音が溜まる中域をクリアにしてキックのミュートも外し、以降のメタルのミックスの基準となった鋭いサウンドメイク。どれも以降に続いて隆盛を極めるメタルのレギュレーションといえるほどの美的特徴を完成させたものでした。「The Hellion」から「Electric Eye」へと切れ目なく続くアルバム冒頭の素晴らしさは、その象徴的な例でした。
初期ブリティッシュ・ヘヴィメタルの代表作をふたつあげるとしたら、アイアン・メイデンのデビューアルバムとこのレコードではないかと私は思っています。
■レコード高価買取に関するあれこれ
ダブル・プラチナを獲得するほどにヒットしたアルバムなので、世界中でリイシューされ続けました。中でもプレミア化が進んでいるリイシューがいくつかあります。
2010年にBack on black レーベルがリイシューしたレコードは180g重量盤の2枚組で、グレー、オレンジ、イエローという3種のカラーレコードが用意されました。これは現在いずれも5000円超えとなっています。特にイエローの人気は高く、これは1万円に近い(あるいはそれを超える)値段がついています。
2014年にアメリカでリイシューされたレコードは、シリアル・ナンバーが刻印されており、1万円超えは必至。
日本盤はポスター封入仕様で、帯などすべてそろっていれば4000円超えはかたいところです。
もし、ジューダス・プリーストのレコードを譲ろうと思っていらっしゃる方がいましたら、その価値が分かる専門の買い取り業者に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。