疫病の世界的流行にウクライナ戦争、首〇暗殺にカ〇ト宗教の政治関与、果てはアントニオ猪木まであの世に旅立ってしまうなど、2022年はさんざんな年でした。年末には世界的な物価高騰が押し寄せ、神も仏もないのではないかと思ってしまう状況です。しかし弱音ばかり吐いているわけにはいきません、強く生きねば。せめてクリスマスぐらいは明るく清らかな気持ちで過ごしたいですよね。

クリスマスは、元々はキリストの生誕を祝うお祭りで、これはカトリック、プロテスタント、正教会ともに共通しています。ただし、いつをクリスマスとするかは宗派によって差があり、旧ユリウス暦を基準として、現在の暦における1月7日をクリスマスとする宗派もあります。差は音楽にもあらわれます。家族と静かな気持ちで過ごす合唱音楽、明るく楽しく過ごす音楽、街の家々を子供たちが歌いまわるキャロルまで、クリスマスの音楽の扱いも文化によって様々です。

今回は、クリスマスに聴きたい素晴らしいレコードを紹介するとともに、少しだけそれぞれの音楽の背景を語らせていただこうと思います。

■Vince Guaraldi / A Charlie Brown Christmas (Fantasy, 1965)

ジャズ系のクリスマス・アルバムとして間違いなくお薦めしたいのが、これです。ヴィンス・ガラルディのピアノ・トリオによるクリスマス・アルバムです。元はテレビ放送されたスペシャル・アニメ『A Charlie Brown Christmas』(邦題『スヌーピーのメリークリスマス』)のサウンド・トラックで、このアルバムに収録されているガラルディ作曲「Christmas Time Is Here」は、日本での知名度は低いものの、アメリカではクリスマスの大スタンダード・ナンバーとなりました。

洒落たジャズ・ピアノを楽しめる曲もありますが、アルバム最初の2曲は正統クリスマス・キャロルです。さらにスタンダード化した「Christmas Time Is Here」は子供たちのコーラス入りのバージョンも収録されています。かつて欧米でのクリスマスには、子供たちが街の家々を訪れてクリスマス・キャロルを歌ってまわる文化があったそうです。このアルバムでの子供たちの声を聴いていると、そういうあたたかい文化まで感じられる気持ちになります。

このレコード、65年USオリジナル盤はモノとステレオの2種が出ていますが、どちらも海外のコレクターから人気が高く、数万の値をつけることがあります。一方のアニメーション本編は、アメリカでエミー賞を取り、何度も再放送された事で、ある時期のアメリカではこのアニメを観た事のない子供の方が少ない状態だったそうです。チャーリー・ブラウン少年が、プレゼントやパーティーばかりに躍起にあるクリスマスに違和感を覚え、最後にクリスマスの意味を知る事になるという実に良い話です。興味のある方はアニメ本編もぜひ。

■Bing Crosby, Fred Astaire / Holiday Inn (decca, 1942)

「Christmas Time Is Here」が戦後に生まれたクリスマス・ソングなら、戦中に生まれたクリスマス・ソングの最高傑作は「White Christmas」ではないでしょうか。この曲は映画『Holiday Inn』の劇中歌として作曲され、作曲者のアーヴィング・バーリンは「アメリカのシューベルト」と呼ばれた人です。このレコードは同映画のサウンド・トラック版で、「ホワイト・クリスマス」正真正銘のオリジナル音源、ヴォーカルはビング・クロスビーです。

このレコード、大元は10インチのシェラック盤6枚組12曲のボックス仕様という豪華なものでした。初ヴィニール化は49年10インチ盤で7曲入り、この時にはなんと「ホワイト・クリスマス」が除外されて収録されませんでした。12曲全曲がLPにフル収録されたのは62年の12インチ盤として復刻された時で、その時にはアーティスト名がビング・クロスビー単独名義に変更されました。

■ホリー・コール / サンタ・ベイビー (東芝EMI, 1995)

有名なレコードではありませんが、個人的にぜひ推薦したいアルバムです。「コーリング・ユー」のカバーでヒットを飛ばしたカナダ人歌手ホリー・コールのライブ盤です。カナダや北欧はジャズを演奏しても透明感ある音楽に仕上げますが、ストリングスをバックにしたこの音楽はまさにそれです。

選曲も見事で、収録曲のほとんどがクリスマスにちなんだ曲ながらも月並みな戦局はひとつもありません。プリテンダース、マドンナ、トム・ウェイツなどの曲からセレクトされ、埋もれた名曲を原曲以上の素晴らしさにして蘇らせていました。

このアルバムは日本限定発売で、リイシューもされていません。これだけ見事なステージを生で体験できたトロントの人も羨ましいですが、素晴らしい録音で追体験できる日本も幸せですね。

■Carpenters / Christmas Portrait (A&M, 1978)

ポップスのクリスマス・アルバムで、カーペンターズが作り上げたこのレコードに比肩するものなど無いのではないでしょうか。それほどの大名作です。有名なクリスマス・ソングを網羅して聴かせる音楽ですが、組曲化された再構成の見事さ、オーケストレーションの素晴らしさなど、クオリティの高さに舌を巻くばかりです。

このアルバムの本当の主役は、アルバムの半分以上曲のアレンジを担当したピーター・ナイトだと私は思っています。イギリスで様々なテレビ番組や映画のオーケストラ・アレンジを行ってきた職人アレンジャーですが、ポップスの世界ではムーディー・ブルースやビートルス『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』での仕事が有名です。このプロフェッショナルをアメリカに呼んだのが、他ならぬリチャード・カーペンターです。リチャード・カーペンターとピーター・ナイトというポップス界の才能の出会いが、クリスマス・アルバムとして今も色褪せる事のないアルバムを生み落としました。

このアルバム、のちになってスペシャル・エディションなるものが発表されました。個人的にこれは改悪、ディズニー調のファンタジックな方向に音楽を仕上げながらも、最初に無伴奏男声独奏「久しく待ちにし主よとく来たりて」(O Come, O Come Immanuel) という中世の聖歌に由来を持つクリスマス・キャロルを置き、「アヴェ・マリア」で締める構成によって、エンターテイメント以上の意味を持ちえたレコードだったと思うのですが…。両バージョンを見分ける方法のひとつは、ジャケット表に書かれた曲目のトップに「SPECIAL EDITION」の文字があるかどうかが基準のひとつですが、この方法は絶対ではありません。「SPECIAL EDITION」と書かれていないにもかかわらず、スペシャル・エディション仕様となっているものがあるからです。確実な見分け方は、1曲目が「O Come, O Come Immanuel」であるかどうか。そうであればオリジナル仕様です。

■Mahalia Jackson / Silent Night – Songs For Christmas (Columbia, 1962)

キリスト信仰は欧米白人だけではなく、彼らに奴隷として支配されたアフリカ系民族にも浸透しました。エジプトなどもそうですが、合衆国に生きたアフロ・アメリカンの黒人教会にもキリスト教音楽は浸透しました。マヘリア・ジャクソンは黒人教会で歌われていたゴスペルやスピリチャルを歌って世に出た歌手で、これは彼女が歌ったクリスマス・アルバムです。

ピアノまたはオルガンの伴奏に、メイン・ヴォーカルとコーラスのみの編成。歌とコーラスは、黒人教会的なコール・アンド・レスポンスの形式をとる事もあれば、ホモフォニーとなる事も、あるいは後に黒人コーラス・グループが聴かせることになるバス・パート付きポリフォニーとなる事もあります。つまり、エンターテイメントを意識した新作ではなく、黒人教会での合唱形式に沿って作られたリアルな音楽。白人の教会音楽が、どこか神々しく非人間的なものを感じるのに対して、黒人教会のそれは非常に温かみを感じて人間的。同じ曲を歌ってもそう感じるのですから、なぜアフリカン・アメリカンの教会音楽がスピリチャルやゴスペルと呼ばれたのか、その理由も分かる気がします。

■The Trapp Family Singers / Christmas With The Trapp Family Singers (Decca, 1953)

最後に、ヨーロッパのクリスマス・ソング集を。トラップ・ファミリーによるクリスマス曲集です。映画『サウンド・オブ・ミュージック』でおなじみのトラップ・ファミリーは、ナチの恐怖が迫るオーストリアからアメリカに亡命し、家庭の楽しみとして子供たちが楽しんだ合唱を生業に変えて活躍しました。その見事な合唱は教会音楽そのものでもあり、またキリスト教信仰の強かった時代に讃美歌やキャロルが、家庭の中でどのように歌われてきたのかを示す好例でもあるように思えます。家族が心を合わせて歌い、調和するとそこに美が生まれ喜びを感じ、こうした楽しみにお金など掛からず…。仲間と馬鹿騒ぎするクリスマスも、酒池肉林に溺れるクリスマスもいいですが、静謐な気持ちで家族とともに神に感謝するクリスマスを過ごすのも、良い過ごし方ではないでしょうか。

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クリスマスというのは子供も大人も、なぜかいい気分にや優しい気持ちになれるのは不思議です。なので、ぼくはクリスマス時期が夏の次に好きです。そして、クリスマスの思い出深い曲は数あれど、思い出が詰まり、一番よく聴いた曲はTHE POGUES(ザ・ポーグス)の「Fairytale Of New York」です。まだ聴いておられない方は、おすすめですので、ぜひ聴いてみてくださいね。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

それでは皆さん、今年も良いクリスマスをお過ごしください!