幼少時からアメリカのルーツ・ミュージックに親しみ、50年代からセッション・ギタリストとして活躍。70年代に入って遅すぎたソロ・デビューを果たしたギタリストが、ロイ・ブキャナンです。

バンド・ブルースを演奏しても、カントリー系の音楽を演奏しても、ここ一番でテレキャスターを弾き倒しにかかるそのスタイルは、ホワイト・ブルースやカントリー・ロックといった伝統的なアメリカ音楽におけるジミ・ヘンドリックスのようでした。しかしブキャナンはセッション・ミュージシャンに留まることなく進化を続け、留置所で首吊り自殺をするその時まで前に進み続けました。

今回は、ロイ・ブキャナンの名盤や高額買取りレコードを紹介させていただきます。

■Roy Buchanan (Polydor, 1972)

71年に自主制作盤がリリースされていますが、実質的にはこのレコードがロイ・ブキャナンのソロ・デビュー・アルバムになります。ブルース、カントリー、ケイジャンなど、様々なアメリカン・ルーツ・ミュージックの要素がはいっており、初期のレコードの中でもっともバラエティに富んだものと言えるでしょう。カントリーやブルースというと、どの曲も似て感じるなど、様式化した曲想が思い浮かぶところですが、このアルバムに収められた音楽は、そこに留まるものではありません。アルバム冒頭「Sweet Dreams」はその良い例で、ターン・アラウンドでダイアトニック・コード進行が使われるなど、レイドバックしたアメリカ音楽の良さを残しながら、随所に仕掛けが施してありました。

そんなバラエティに富んだアメリカン・ルーツ・ミュージックが並ぶ中、ギターを弾き倒す事でドラマを作る「メシアが再び」は、さすがの名演。曲の完成度、曲種、演奏と三拍子揃ったレコードで、私がロイ・ブキャナンで最も好きなアルバムです。

■Second Album (Polydor, 1973)

ゴールド・ディスクを獲得したセカンド・アルバムです。日本でも世界でも、もっとも良く聴かれたロイ・ブキャナンのレコードではないかと思います。

前作から一転、インストのバンド・ブルースがアルバムの大半を占める作りとなっています。アメリカ白人によるインストのバンド・ブルースと言えば、ジョニー・ウインターやスティーヴィー・レイ・ヴォーンなどが思い浮かびますが、まさにあの流れにある音楽。単旋律でテレキャスターを弾き倒します。

そんな中、唯一アコースティック・ギターがつま弾かれる「Thank You, Lord」の美しさは絶品。最後にゆったりとしたコーダにたどり着く構成を含め、隠れた名曲と思います。

■In The Beginning (Polydor, 1974)

発売国によってはタイトルが『Rescue Me』に変わる、74年発表のレコードです。ちなみに日本では『ギター・ルネッサンス』のいう名前となりました。

これまで同様、伝統的なアメリカ音楽に根ざした楽曲が並びますが、演奏はアグレッシブそのもの。テレキャスターが壊れんばかりに弾き倒されます。ロイ・ブキャナンの初期スタジオ・アルバムではもっともギター演奏に重きが置かれたレコードと言えるかと思います。

このアルバム、1曲だけ他と毛色の違う曲が入っていますが、なんと作曲はフュージョン・バンドであるウェザー・リポートのジョー・ザヴィヌル。実はこれが以降のロイ・ブキャナンの活動に関わってくるとは、誰が予期できたでしょうか。

■Loading Zone (Atlantic, 1977)

ロイ・ブキャナンは76年に ポリドールからアトランティックに移籍しましたが、これは移籍後第2弾のレコードです。『セカンド・アルバム』以来、2度目のゴールド・ディスク獲得アルバムにもなりました。

スロー・ブルースやブッカーT「グリーン・オニオン」など、これまで通り伝統的なスタイルのアメリカ音楽も披露しています。しかしアルバムの中心となっているのは、なんとフュージョン。集まったメンバーも、ヤン・ハマー、スタンリー・クラーク、ナラダ・マイケル・ウォルデンなど、フュージョンの一線級。それにロイ・ブキャナンが加わるのですから、ムード・ミュージック系フュージョンになる筈もなく、ジェフ・ベックやイレヴンズ・ハウス時代のラリー・コリエルのような、攻撃的なインスト・ミュージック。ディストーションで作り上げたサステインの長いエレキ・ギターでのアドリブ演奏を聴くことが出来ます。

■レコード高価買取に関するあれこれ

伝統的なアメリカ音楽の名ギタリストであり、デビュー・アルバムをはじめ素晴らしいレコードも残した割に、ロイ・ブキャナンのレコードはそれほどプレミア化していません。そんな中でとくに注目に値するのは、78年に日本でリリースされた『ロイ・ブキャナン・ライヴ・イン・ジャパン』でしょう。このアルバムは「ヘイ・ジョー」が取り上げられ、演奏も素晴らしく、録音も良い事から、アルバム自体の完成度が高いのですが、それ以上にプレミア化の理由となったのが、このレコードがアメリカで発売されたことが一度もない事でしょう。日本でも一定以上の価格がついていますが、むしろ海外で希少価値を生んでいます。

もし、ロイ・ブキャナンのレコードを譲ろうとお考えでしたら、その価値が分かる専門の買い取り業者に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。思わぬ高額買取りレコードになるかもしれません。

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これからボーナス時期になるので、新譜もたくさん発売されるでしょう。わたしも、その原資作りに必要ないレコードは売る計画をしています。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。