フュージョン以降のジャズの録音は、録音機材や楽器自体がデジタルであったりするので、CDやストリーミングなどのデジタルオーディオで聴いてもよい音楽だと思うのですが、アコースティック楽器をアナログ機材で録音していた時代の録音物は、やはりアナログ・レコードで聴きたいと思ってしまいます。

極端な話を言えば、ブラントン/ウェブスター時代のデューク・エリントン楽団や、コモドア時代のビリー・ホリデイなどは、レコードプレイヤーの針がパチパチ鳴る音まで含めて音楽だと思ってしまうほどです。モダン・ジャズ以降でも、スコット・ラファロが見事なカウンターラインを紡ぎ出していたビル・エヴァンス・トリオなどは、真空管をあたため、良質なトランスを積んでいた昔のアンプを通過させた温かい音で聴きたくなることがよくあります。このあたりは、アナログとデジタルのどちらが良いかという話ではなく、どちらが好みかという話ですね。良質な再生環境で聴くアナログ・レコードの音の温かみを知っていることは、人生の悦楽のひとつでしょう。あの悦楽と言ったら!

興奮して前置きが長くなってしまいましたが、今回は「このジャズ名盤はアナログ・レコードで」とつい思ってしまう推薦盤10枚を紹介させていただきたいと思います。

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【Mildred Bailey ‎– The Majestic Mildred Bailey】

ミルドレッド・ベイリーという名前は知らなくても、彼女の歌った「All of Me」という曲を知らないジャズ・ファンはいないでしょう。このレコードは、1946年から47年にかけてマジェスティックというレーベルに吹き込まれた録音を、ジャズの名門レーベルであったサヴォイがまとめたものです。ジャズというと、今ではモダン・ジャズ以降のものをイメージすることが多いかと思いますが、それ以前のアーリータイムとなると、いかにもアメリカ音楽というレイドバックした心地よい音楽だったのですよね。これはアナログ・レコードで聴きたい音楽です。

【Lester Young and The Kansas City 6 / The Complete Commodore Recordings】

マイルス・デイヴィス以降のジャズしか聴いていなかった頃がありまして、その頃はスイング以前のジャズは古臭くてつまらないものと思っていました。ところが、レスター・ヤングのテナーサックスの演奏を聴いた瞬間に、そんな先入観は吹き飛ばされました。あまりに温かい心地よさにKOされたのです。

レスター・ヤングはカウント・ベイシー楽団の花形ソロイストで、ベイシー楽団出身者6人で吹き込んだのがこの録音です。日本では、これがアナログ盤ボックスセットとして、未発表テイクを含めてコンプリート盤として発売されていたことがありました。温かみが生命線と感じるレスター・ヤングのサックスなので、やはりアナログ・レコードで聴きたい演奏です。

【ビリー・ホリデイ / ビリー・ホリデイの魂】

ジャズ・ヴォーカルのビリー・ホリデイの名盤と言えば『奇妙な果実』が有名ですが、最良のパフォーマンスとなると、このライブ録音をあげる人が少なくありません。このレコード、もともとは10インチ盤8曲入りで発表されたものですが、推薦したいのは日本編集でボーナストラック6曲の追加された盤です。古い時代のジャズのレコードはオリジナルが10インチ盤である事があり、後にそれが12インチ盤として再発されることがありましたが、そのような事情が生み出した幸運な1枚だと思います。

【バド・パウエル / バド・パウエルの芸術】

このあたりからモダン・ジャズに入っていきます。モダン・ジャズのピアノのスタイルはこの人から始まったといっても過言ではない天才ピアニストがバド・パウエルです。これは名盤として有名なレコードですが、これも日本再発盤が推薦です。なぜ日本盤が推薦かというと、このレコード、オリジナル盤はマスターテープの回転数がちゃんと調整されないままカッティングに入ってしまったのか、ピッチがおかしいのです。ところが日本のアナログ盤はそのピッチが修正されています。職人のプロ意識が高かった頃の日本ならではの良い仕事ですね。

【Marty Paich Quartet featuring Art Pepper】

現在ではジャズというとイースト・コースト系のジャズ一色になった観がありますが、1950年代はイースト・コーストとは明らかに音楽性の違うウエスト・コースト・ジャズも盛んでした。ウエスト・コーストのスターのひとりであるアート・ペッパーのレコードというと、なぜかイースト・コーストのリズムセクションを使った『Meets The Rhythm Section』が有名ですが、ウエスト・コースト的なアレンジやアンサンブルに気を使った洗練されたジャズが聴けるのは、実質的なデビュー作となったこのレコードではないかと思います。この知的かつレイドバックした50年代アメリカ西海岸の雰囲気は、やはりアナログ盤で聴きたい音です。

【Sonny Clark / Cool Struttin’】

美しいジャケットが有名なアルバムですが、1957年録音のこのレコードの内容は、50年代のハード・バップ・セッションでありつつも雰囲気がクールで、この音楽性とジャケット写真の相乗効果で50年代アメリカを表現することになった名盤なのだと思います。タイトスカートで街中を歩くそのスタイルは、50年代のアメリカ都市部で自立して働く知的な女性を思わせますが、映画『カサブランカ』でのイングリッド・バーグマンなど、かつてのアメリカではそういう女性が強くリスペクトされていたと思うのですよね。そういう50年代アメリカの都市部の匂いが、音とジャケットの両方を合わせて表現されていたように思います。というわけで、ジャケットが大事なこのレコードはCDやストリーミングでは駄目で、LPの大きなジャケットで持っていたい1枚です。

【Herbie Mann / Love and the Weather】

私的には、クール・ストラッティンに勝るとも劣らないジャズの名ジャケットで、完全にジャケット買いしてしまった1枚です。こういうジャケットは12インチ盤で買って、部屋に飾っておきたいのです。

【Bill Evans / Unknown Session】

ジャズで最も絵になるミュージシャンは、オールバックに眼鏡にスーツといういでたちで、うつむき加減でピアノの上に指を走らせていたビル・エヴァンスだと思っています。そのルックス通り、高い技術と音楽性を持ちながら、演奏が感傷的なのですよね。そのうつむき加減の演奏姿がそのままジャケットになっているのがこのレコードです。タイトルには「セッション」とありますが、『Waltz for Debby』や『Sunday at the Village Vanguard』などの彼の有名作よりもよほどアレンジが行き届いたアンサンブル作品で、私としてはエヴァンスの最高傑作にあげたい1枚です。ズート・シムズとサックスとジム・ホールのギターの音が太く温かく聴こえるかどうかが重要なレコードと思うので、これもアナログ盤で聴きたい1枚です。

【Marion Brown Quartet】

60年代までのフリー・ジャズも、アナログ盤で聴きたい音楽です。マリオン・ブラウンはフリー・ジャズの中ではいろいろなスタイルを取り入れた個性的なアルト・サックス奏者ですが、このデビュー・アルバムは意外にもコルトレーンの影響を強く感じる骨太の演奏です。こういう演奏は絶対にアナログ盤と良質のアンプとスピーカーをそろえて聴きたいです。

【Herbie Hancock / Speak Like a Child】

ファンクロックのような事もしてしまう人ですが、ジャズ・ピアニストとしても素晴らしいプレイヤーです。ジャズマンとして有名なレコードは、新主流派というモード・ジャズ的な色彩を前面に押し出した『処女航海』でしょうが、音楽の内容で言えば大名曲「Speak Like a Child」の収録されたこのアルバムが推薦です。そしてこのジャケット、ブルーノートの中でナンバーワンと思っているのは私だけでしょうか。このデザインは、LPで持っていたいですよね。

当たり前すぎず、またマニアックすぎないところで、こういうジャズはアナログ・レコードで聴きたいというものを集めてみました。アナログ・レコードとアナログのオーディオ装置の音質が知られている限り、こうした録音をアナログ・レコードで聴きたいと思う方が途絶えることはないでしょう。ですので、もしジャズのレコードを手放そうと思っていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、ジャズのアナログ盤の価値が分かる専門の業者に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。意外と高く査定してもらえるものがあるかも知れませんよ。

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