「レコードのジャケットにシミやカビが」「久々にターンテーブルに乗せたら、レコードが反って音が波打ってしまう」…アナログのレコードは、手をかければかけるほど音がよくなる楽しみがありますが、反面おろそかにすると、思わぬショックなことも起こります。とくに梅雨から夏にかけては、レコードの保管にとって気をつけたい時期です。
今回は、あなたの大切なレコードのケアや保管方法についてご紹介させていただきます。
■レコード盤の大敵、ジャケットの大敵
ポリ塩化ビニールで出来たレコード最大の敵は、傷、カビ、反り、この3つです。一方、レコードを収納するレコード・ジャケットの大敵は湿度、直射日光、汚れ。
これらから逃れるためには、起きてしまってからの対処はもちろん、あらかじめケアしておけば防げることもたくさんあります。起きてからの修繕は手間のかかるものですが、普段からのケアは心がけ次第でそれほど大変ではないものが大半です。
■傷対策は普段からのケアで
(傷の対策は普段の取り扱い)
レコードの弱点最大の敵は、傷です。もし盤に傷をつけてしまえば、あとから修復するのは大変。普段のケアが重要になります。
あたりまえのことですが、もっとも重要なのは、盤面にモノをぶつけない事。分かっていても、レコードも扱いに慣れてくると、ついつい手際よく扱ってしまいがちです。しかし、レコード店の人が、レコードを取り出して以降は、動きが慎重になる事を思い出してください。専門家ですら、それぐらい慎重になるほど、レコードはデリケートなのです。慎重に慎重に。
(傷がついた時の裏技修復法)
直るとは限らない方法ですので、実行の際はあくまで自己責任で行ってください。また、これで防げるかもしれない症状は、いわゆる針飛びだけという事にも留意してください。
針飛びの原因の際たるものは、レコードに傷がついて、針が溝を飛び越えてしまう事です。そこで、傷によって削られた溝の凸部分を、パテによってふたたび築く、これが方法です。レコード盤の上にパテをわずかに乗せ、爪ようじで凸部分をトレースして溝を作り、乾燥させます。
■汚れ・カビ対策で気をつけておきたい事
レコードの汚れ・カビについても、修復よりも予防の方が圧倒的に楽です。汚れやカビのクリーニングについては、以前に書かせていただいた記事「本当はどうやるのがいいの?レコードのクリーニング方法」を参照ください。ここでは、予防の方法をご紹介させていただきます。
(カビ対策は湿気を避ける事)
カビを防ぐ一番の方法は、湿気を防ぐこと。除湿機や除湿剤を使う、換気を行うといった対処はマスト。また、レコードの保管場所も重要で、押し入れの奥などの空気の流れが悪い所よりも、風通しの良い所の方がいいです。
また、キッチンやバスなどの近くは、想像以上に湿度が高いので注意が必要です。そうそう、キッチン近くで高い所に収納すると、料理の湯気に乗って油まで飛んでくるので厳重注意。料理中に換気扇をまわしても、家庭用の換気扇では防ぎきれません。私はこれでCDのケースを油汚れでベタベタにした事があります。
(指紋は油、気をつけろ!)
レコードでもジャケットでも、指紋は意外な大敵です。指紋は人の油ですから、汚れの中でも落ちにくい油汚れの元になるのです。レコードを持つ時は、レコードのエッジとセンターの穴だけを持ち、それ以外のところに触れないようにします。これは多くの人がやっている事だと思いますが、実はジャケットも同様で、エッジのみを持った方が良いです。レコード・ジャケットにはいくつかの種類がありますが、A式と呼ばれる印刷された紙を台紙に貼りつけたものは、下に糊が入っている事もあり、この手のダメージに弱いです。
■盤の反り対策と、修復の裏技
(基本は縦置き保管)
レコードが曲がってしまう反りの原因は、まっすぐに保管しない事、そして熱や直射日光です。反りに対するレコードの保管の基本は、垂直に立てて保管する事です。なんとなく、レコードを詰めて棚などに収めると、圧迫されてなんとなくレコードに悪い気がしてしまうかも知れませんが、斜めに立てかけるのはご法度で、一番やってはいけません。レコードは隙間が開かないよう、詰めて保管しましょう。
(直射日光を避ける事はいくつかの意味がある)
直射日光もご法度。盤の反りや歪みに繋がるばかりか、他のデメリットもあります。私は昔、出窓のある部屋に住んだ事があり、なんとなくオシャレに思って、ジャケットを見えるようにして気に入ったレコードを出窓に置き、インテリアとして使いました。それほど日差しが入る部屋でもなかったのですが、気が付くとジャケット裏が日焼けして色が薄くなってしまい、後悔してもあとの祭り。印刷物にとっても直射日光は大敵です。
(スタビライザーのすすめ)
反りを直すものではありませんが、レコードの上に乗せてターンテーブルをまわすスタビライザーというものがあります。レコード盤の共振を抑え、またセンターに重量を加えるためか、反りが気になるレコードでも、スタビライザーを載せる事である程度反りの影響を低減する事が出来ます。スタビライザーを使った事のない方は、ぜひ一度使って見てください!