ジェファーソン・エアプレインは息の長いロック・バンドで、分裂して二つの派生バンドが併存した時期すらありますが、共同生活を送りながら創作に意欲を燃やした69年までをオリジナルと見る事も出来るでしょう。この時期は、最初はフォークロック、それが次第にサイケデリック色を強め、反戦歌を含む反体制的な歌を歌い、作品を発表するごとに作曲や演奏能力を高めていき、そしてカウンター・カルチャーの象徴になっていきました。ある意味で、60年代のアメリカ西海岸のロックのドラマを体現する劇的な変遷をたどった稀有なバンドでもありました。

そうしたオリジナルのエアプレインの集大成ともいえるレコードが、『Bless Its Pointed Little Head』(邦題:フィルモアのジェファーソン・エアプレイン)です。バスに乗って全米をツアーして生きていたバンドが、フィルモアにたどり着いて行ったライブの模様が収録されています。

■ギミック満載のスタジオ録音盤とはまったく違う、バンドの実力を見せた傑作

このレコード、ライブ盤でありながら、それまでのアルバムに収録されなかった曲が半分を占めています。それは、SEやギミックの目立ったそれまでのスタジオ録音アルバムとはまったく違った作りで、見事なバンド・アンサンブルや演奏表現で、味も迫力もあるレベルの高いライブ・バンドの様相を示すものでした。

名盤『シュールリアリスティック・ピロー』収録の「3/5 of a Mile in 10 Seconds」や「Somebody to Love」は、スタジオ盤とは雲泥の差となる名演で、特に前者のドラム・ソロの壮絶さや、和声進行のカウンターの役割も果たすにバスラインなど、筆舌に尽くしがたい素晴らしさです。

リディアン調でたゆたう「Fat Angel」は、インド音楽のようにも響き、LSDをはじめとしたアメリカのドラッグ・カルチャーが瞑想の規範としたインド文化への志向を感じさせます。歌謡形式に収まらない音楽。

ダークきわまりない終曲「Bear Melt」は、抽象化された男が暗示する詞と相まって、アッチェルして音楽を高揚させるという、サイケデリック・ロックによってようやく可能にしたドラマチックな構成をしたものでした。

ジェファーソン・エアプレインとしても、サイケデリック・ロックとしても、そして60年代アメリカン・ロックとしても、どうも見落とされがちなレコードですが、実はどの面から見ても完璧と言える名作ではないかと思います。

■レコード高価買取に関するあれこれ

素晴らしい内容のレコードですが、バージョンにこだわらなければ意外とリーズナブルな値段で手に入れる事が出来ます。ただし、状態の良いUSオリジナル盤は、異様なイラストが描かれたインナー入りであればなかなか高額です。また、日本盤は初期のものはゲートフォールド仕様で、これも状態さえ良ければなかなかの値をつける時があります。

もし、ジェファーソン・エアプレインのレコードを譲ろうと思っていらっしゃる方がいましたら、その価値が分かる専門の買い取り業者に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。