90年代にデビューするや、またたく間に90年代を代表するロック・バンドのひとつとなったのが、イギリスのマンチェスター出身メンバーで結成されたオアシスです。

マンチェスターといえば軽工業を中心に発展した北部イングランドを代表する大都市ですが、20世紀に入って長期の不況が続き、20世紀後半には空き家や倉庫が目立つ状況になっていました。オアシスのメンバーは、そんな状況となっていたマンチェスターの都市労働者で、労働者階級のイギリス人が歌うロックという特徴を持っていました。イギリスの労働者階級によるロック・バンドといえばビートルズがその筆頭でしょうが、オアシスはビートルズを敬愛し、その楽曲もビートルズをはじめとしたブリティッシュ・ビートからの影響を強く感じさせるものでした。

今回はオアシスの名盤や高額買取りレコードを紹介させていただきます。

■Definitely Maybe (Creation, 1994)

オアシスのデビュー・アルバムです。発表されるやイギリスのチャートで1位となり、オアシスの代表アルバムのひとつとも言われています。

往年のブリティッシュ・ビート・ミュージックからの影響は明白。影響どころかジョージ・ハリソン「マイ・スウィート・ロード」やTレックス「ゲット・イット・オン」など、過去のブリティッシュ・ロック・ナンバーそのままのフレーズやリフすら登場します。過去のロックへのリスペクトはジャケットにもあらわれており、「oasis」のロゴは60年代にブリティッシュ・ビート・バンドを数多く輩出したレーベルのデッカ/デラムのロゴに酷似。アルバムジャケットにはバート・バカラックのポスターが写り込みます。

一方でサウンドは90年代の流行を取り入れ、ギターはディストーションの上にコーラス系のエフェクターを重ねがけし、ドラムはローファイサウンド。90年代のオルタナティヴ・ロック系のサウンド・メイクを施しました。

これらをひと言で言うと、90年代のビートルズ、あるいは90年代のブリティッシュ・ビートと呼ぶことができるかも知れません。

■(What’s the Story) Morning Glory? (Creation, 1995)

オアシスのセカンド・アルバムです。世界で2500万枚を売り上げ、オアシスでもっともよく聞かれたレコードとなっています。

オアシスの音楽は、どのアルバムも基本的に変わらないのですが、このアルバムではアコースティック・ギターの響きを生かした曲や、チェロにカウンターラインを持たせた曲などが入り、エフェクティブなサウンド自体がアルバム・カラーとなったファーストアルバムより、より楽曲が目立つ仕上がりとなりました。個人的な話になりますが、このアルバムではじめてオアシスの楽曲に耳が行くようになりました。

なお、オアシスの曲は、そのほとんどがギタリストのノエル・ギャラガーによるもので、このアルバムでも1曲目を除くすべてが彼の作詞作曲となっています。

■Be Here Now (Creation, 1997)

97年発表のサードアルバムも、基本的にはファーストアルバムと同系統の音楽。しかし、ラジオヴォイスや電子音の使用、ほとんどメロディを取らなかったギターもカウンターラインを演奏するなど、ギミックやアンサンブル面での進化がみられます。

このアルバムでも過去のブリティッシュ・ロックへのオマージュを随所に聴く事が出来ます。「Stand By Me」はモット・ザ・フープル「All the young dude」、「All Around the World」はビートルズの「Hey Jude」からの影響が明らかです。

■レコード高価買取に関するあれこれ

オアシスに限った話ではありませんが、90年代にデビューしたロック・バンドは、セールスを見込んでか、バージョン違いやリマスター盤、デラックス盤などを頻繁に出す傾向があります。

ファースト・アルバム『Definitely Maybe』は、94年リリース時にもいくつかのバージョンがあります。時代的にも基本はCDでのリリースですが、これを基準に見ると、日本盤CDは「Cloudburst」「Sad Song」の2曲を追加した13曲入りとなっており、UKやUSの11曲入りよりも曲数が多くなっています。また、ヨーロッパで発表されたリミテッド・エディションは、11曲入りCDアルバムと、シングルCDがセットとなった形で発表されました。このシングルは「Whatever」です。LPは2枚組で発表され、12曲入り。通常11曲に追加されているのは「Sad Song」です。プレミア度が高いのはこの2枚組レコードで、1万円超えは必至、3万円以上の値をつける事もあります。

セカンド・アルバム『(What’s the Story) Morning Glory?』もやはりレコードは2枚組での発売で、CD未収録曲「Bonehead’s Bank Holiday」が追加されました。これもやはり現在高額となっており、1万円超えは必至、4万円近い値をつける事もあります。

なお、2014年以降、オアシスがファーストからサードを発表した期間をふり返ってリイシューするプロジェクトが行われました。ファーストとセカンドは2014年にSuper Deluxe Box Set がリリースされ、3CD、2LP、1EP、それにブックレットや各種特典をつけてのリリースとなりました。形状こそ違いますが、サードもデラックス・エディションがリリースされています。

もし、オアシスのレコードを譲ろうと思っていらっしゃる方がいましたら、その価値が分かる専門の買い取り業者に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。