1966年結成、スティーヴン・スティルス、ニール・ヤング、リッチー・フューレイといったミュージシャンを輩出、カントリー・ロックの礎を築いたロックバンドが、バッファロー・スプリングフィールドです。その音楽はフォークやカントリーのロック・アレンジに留まらず、当時の両ジャンルの最先端を行く音楽を生み出しました。

今回は、1967年発表となる彼らの最高傑作アルバム『バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン』を取りあげさせていただきます。

■プログレッシヴ・ロックに匹敵する先鋭性を持つカントリー・ロック

3拍子と4拍子が交錯する「Everydays」、テープの逆回転やエコーの海に弦楽がにじむ「Expecting to Fly」、一度終わった曲が楽器編成を変えて変奏される「Bluebird」、そしてコラージュやカットアップの連続となる終曲「Broken Arrow」。このレコードをカントリー・ロックやフォーク・ロックと思って聴くと、かなりの人が面食らうのではないでしょうか。カントリーやフォークをベースにした音楽には違いありませんが、とてもその枠に収まる音楽ではありません。

このレコードが発表されたのは1967年11月です。同年5月にはジミ・ヘンドリックス『アー・ユー・エクスペリエンスト?』が、翌6月にはテープ操作をはじめとしたスタジオ・ワークを駆使したビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が発表されました。公民権運動やベトナム戦争の泥沼化を目の当たりにして、アメリカの音楽自体も揺すぶられた時代です。とてもではないですが、ラブソングや平和を歌ってすんなりと受け入れられる社会状況ではなくなっていました。

カントリー・ロック方面でこの変革の先鞭をつけたのがバーズ『Fifth Dimension』ならば、音楽面で実質的に舵を切ったのがバッファロー・スプリングフィールドのこのレコードだったのではないでしょうか。

■3頭政治の絶妙なバランス

保守と革新、フォークロアと職人技が絶妙に入り混じったこの音楽を、ひとりの人間で作れるとは思えません。バッファロー・スプリングフィールドの奇跡は、職人的に凝った作曲を行うスティーヴン・スティルス(先述の凝った作曲の多くは彼の手によるもの)、ロックで既成概念を乗り越えるニール・ヤング、保守で安定したカントリー・ロックを生み出すリッチー・フューレイ、この3者が拮抗したためではないでしょうか。10曲入りのこのレコードを作曲者別にみると、この3人の割合が4:3:3 とまさに拮抗状態、これが絶妙なフュージョン状態を創り出し、ロック史に残る名盤が生まれました。

同時にこの拮抗が、バンドを短命に終わらせる原因となったのかも知れません。結成からわずか2年でバンドが解散すると、スティルスとヤングはクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングを、リッチー・フューレイはポコを結成し、それぞれの道を歩むことになります。そしてどちらのバンドも、カントリー・ロックに大きな足跡を残す事になります。

■レコード高価買取に関するあれこれ

アルバム『Again』は、アトランティック傘下のATCOよりリリースされました。大雑把に言うと、67年発表のモノ盤、68年発表のステレオ盤があり、これに各国盤を加えると発売当時のレコードの状況が分かりやすくなると思います。

USオリジナルの初回モノ盤は3色ラベル、しかも配色がオレンジ/ホワイト/ダークブルーで、1万円超えが普通の状態です。ステレオ盤はピンク/ホワイト/ライトブラウンの3色ですが、これも人気があります。概してUSオリジナルのATCO3色レーベルであれば日本でも8000円超えが当たり前の人気です。また、71年日本盤は帯つき(青帯、ラベルはアトランティック)となると大変な高額をつける事があり、特に海外では10万円超えとなった事もあります。

もし、バッファロー・スプリングフィールドのレコードを譲ろうと思っていらっしゃる方がいましたら、その価値が分かる専門の買い取り業者に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。