一時は絶滅危惧種にまでなったレコードも、今では新譜の生産まで行われるほど人気が復活。ジャズなどのジャンルではCDよりもLPの方が人気の高い新譜まで生まれています。

そんなレコードですが、旧譜タイトルのすべてが再プレスされるはずもなく、残っているレコードが最後というタイトルも珍しくなく、残されたものを大切に使っていきたいものです。しかし、ジャケットの底が抜けた、サンプルシールがついていたなど、ジャケットで苦い思いをした人も多いのではないでしょうか。

今回は、ダメージを受けたレコード・ジャケットの修復方法をご紹介させていただきます。

■底抜けの補修1:穴をふさぐ

ジャケットの底抜けはレコード・ジャケットのダメージの代表例ですが、この補修方法です。色々な補修方法がありますが、外観に影響を与えにくい方法を紹介させていただきます。必要なものは、水張りテープ、段ボール、レコード・ジャケットを挟むことができる大きめのクリップ、この3つです。

レコード盤が下に落ちないよう、ジャケットの内側から補強を入れて穴をふさぎます。補強には水張りテープを使います。水張りテープは水に濡らすと強い粘着力が出るので、これを使うと綺麗に、かつしっかりと補強する事が出来ます。水張りテープの長さはジャケット長にする必要はなく、底抜け部分を防げれば充分です。

貼り付ける際には、内側から張り付けて外から手で押さえても良いのですが、これは少々疲れます。そこで、段ボールを用意し、貼り付けたあとはジャケットを外から段ボールで挟み、クリップで止めておくと、クリップ跡をつけず、楽に張り付ける事が出来ます。

■底抜けの補修2:破れの補修

水張りテープによる補強だけで底抜けが目立たなくなったのであれば、この手順を行う必要はありません。しかし、底抜けによって外装はほつれて見えるようであれば、この生計を行う価値があります。使用するものは木工用ボンド、つまようじ、この2つです。

つまようじに木工用ボンドをつけ、破れた部分を丁寧に貼り合わせていきます。木工ボンドの白さに不安を覚えるかも知れませんが、乾くと透明になるのでその点は大丈夫です。ただし、うまく張り合わせないと、ボンドのツヤが目立ってしまいます。

裂け目の程度によっては根気のいる作業となりますので、作業に自信がない方や、つやが残った場合に気になる方などは、この作業はやめた方が良いかも知れません。それでも、うまく補修できた場合はかなり目立たなくできますので、挑戦する価値はあります。

■底抜けの補修3:塗装

色が剝がれている場合は、着色する事でより補修を奇麗に仕上げる事が出来ます。ただしこれは多少の経験や技術が必要で、失敗の可能性もありますので、自己責任でお願いします。使用するものは、プラモデル用に作られているラッカー塗料、そして細い筆です。

まずは、ラッカー塗料を混ぜて着色する色を作ります。ラッカー塗料は乾く前と後で色が少し変化するので注意してください。いきなりジャケットに塗らず、別の紙に塗って乾かし、テストをした方が無難です。

色テストが終わったら、慎重に塗っていきます。プラモデルなどの塗装経験がある方ならわかると思いますが、あせりは禁物です。慎重に丁寧に塗っていきましょう。

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■塗装

塗装は、底抜け以外にも使用できる方法です。背文字部分やジャケットの上下の折り目部分はこすれて色が剥げやすい場所で、剝げがひどい場合は、より大きな修繕も可能です。この場合、着色の前に、溶きパテ、カッター、紙やすり、この3つを使って修繕を測ります。

まずは、エッジ部分の剥げた部分をカッターでそぎ落とします。こうした方が単色で塗りつぶせるようになるので、村を防ぐことができるようになる、というわけです。次に、溶きパテで削ぎ落した部分の穴を埋めます。埋めたあとは充分に乾かし(一晩置いた方が確実でしょう)、最後に紙やすりを賭けて平らに整形します。最後に着色です。

■シールの剥がし方

レンタルレコードのシール、サンプルシール、中古盤の値札を止めていたセロテープなど、レコードのジャケットにシール類が貼られている場合があります。この剥がし方です。なお、シール剥がしは、失敗してシールどころかジャケットの印刷部分をはがしてしまう、染みが残ってしまうなどのリスクもありますので、あくまで自己責任でお願いします。

(あたためる方法)

もっとも単純な方法は、あたためて接着液を柔らかくし、剥がす方法です。ヘアードライヤーを使ってあたためる方法が一般的です。

ヘアードライヤー以外のものを使う方法もあります。私は若い頃にレンタルレコード店でアルバイトをしていた事があるのですが、アルバイトの先輩にレンタルシールをはがす天才がいまして、その方は「ライターであぶるのが一番いい」と言っていました。私が真似したところジャケットを焦がしてしまったのでおすすめできない方法ですが、慣れれば高温を使用できる良い方法なのかも知れませんね。

(シール剥がしを使う方法)

シールをはがすための「シール剥がし」という炭化水素系の溶剤が売られています。これを使ってシールをはがします。私は、ドライヤーでうまく剥がせなかったシールが、この方法でいとも簡単にはがせた経験があります。

注意しなくてはならないのは、溶剤をうまく塗らないとジャケットに染み跡が残ってしまう事です。また、私はこの方法でジャケットからシールをいくつも剥がしましたが、紙製の古いシールはどうしてもうまく剥がす事が出来ませんでした。シール類は、貼られてから時間が経てばたつほど剥がしにくくなるようです。

■きれいなジャケットのレコードは買取り価格にも影響

レコードは盤の状態だけでなく、ジャケットの状態も買取り時の査定に影響します。修繕しなくて済むならばそれに越したことはありませんが、大切なレコードは直しながらいつまでも大事にしたいものですね。